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特発性正常圧水頭症(iNPH)について

通常,水頭症は頭蓋内圧亢進による急激な症状(頭痛や吐き気)をきたします。しかし、頭蓋内圧が正常にもかかわらず、精神活動の低下、歩行障害、尿失禁を三徴候とする特殊な水頭症があり、これは正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus; NPH) と呼ばれます。とくに65歳以上で原因なく起こってくるものを特発性正常圧水頭症 (idiopathic normal pressure hydrocephalus; iNPH)と呼びます。

近年の高齢化の進行に伴いiNPHの患者さんが増えていると推測されます。しかしながら、世間一般ではまだまだ知られていない病気ですので、歩行障害、認知症やその周辺症状は、加齢による症状として受容されている場合も多く、診断や治療へ至っていない方も多いです。

iNPHはシャント手術により歩行障害が改善し、生活がより良くなる可能性があります。また、一般的には治らない病とさせる認知症ですが、iNPHが原因で起こっている認知症は手術により改善する可能性があります。

■iNPHの3徴候

iNPHは歩行障害,認知症,尿失禁を三徴候とします。歩行障害は、本疾患で最も特徴的、かつシャント手術による改善が最も期待できる症状です。三徴候のなかで最も病初期から認める症状でもあり、歩幅の減少、足の挙上低下、開脚歩行を特徴とします。Parkinson病による歩行障害が類似した歩行になります。

自宅内で転倒して救急搬送された70歳代の方のCT画像です。幸い打撲による脳出血などはなく大事には至りませんでしたが、特発性正常圧水頭症が疑われます。2か月後に再び転倒され、特発性正常圧水頭症と診断されました。

認知症は歩行障害についで多く認める症状です。思考緩慢や注意障害など前頭葉皮質型の障害を示し、具体的には無為や無関心となる、行動が緩慢になる、自発性が低下しぼんやりしていることが多くなります。

認知症を気にして受診された80歳代の方のCT画像です。特発性正常圧水頭症による認知症が疑われ、シャント手術で症状が改善しました。

尿失禁は三徴候のうち最も遅く現れる症状で、通常、尿失禁の他に頻尿も伴います。出現頻度は他の二徴候より少ないですが、排尿障害のみをきたす例もあり、本徴候にも注意が必要です。

■iNPHの検査について

iNPHはCT、MRIなどの脳検査でも分かります。脳の中でも脳室という部位が通常より拡大しています。CT、MRI検査においてという計測方法を使用して定量的評価を行います。具体的にはEvans index 0.3以上を脳室拡大と判定し、iNPHの診療ガイドラインでも、本疾患診断における必須項目の一つです。

特発性正常圧水頭症(iNPH)のMRI画像とEvans index
MRI画像を用いてa, bを計測し、Evans index(a/b)を計測します。

一方で、加齢による大脳委縮や脳血管障害による脳室拡大など、高齢の方に比較的多い画像所見と鑑別が難しい場合もあります。
健常の方でもEvans indexが0.3を上回る方が3-4%程度存在するとされるからです。従って、脳室拡大とは異なるiNPHに特徴的な画像所見を把握しておくことが重要です。

iNPHに特徴的なな所見は,くも膜下空の不均衡な拡大を伴う水頭症 (disproportionately enlarged subarachnoid-space hydrocephalus; DESH)と呼ばれる所見です。特にMRI冠状断が、確認に有用で、Alzheimer病など大脳萎縮による脳室拡大と区別するのに役立ちます。iNPHでは、記憶に関する海馬という部位についても、Alzheimer病に比較して萎縮が軽度です。

特発性正常圧水頭症(iNPH)のMRI画像(冠状断)
脳のシワ(脳溝)が、上方と下方で異なります。

症状やMRI検査でiNPHが疑われる方にはタップテストをお勧めします。これは腰から細い針をさし、実際に脳に貯留した脳脊髄液を抜くという検査です。検査で使用する針はとても細いので痛みはほとんど伴いません。細い針で少しの量を抜くだけですが、シャント手術を行った場合にどの程度の効果が期待できるか、あらかじめ確認することが可能です。

■脳神経外科でのシャント手術とは?

タップテストで症状が改善した方は、脳室腹腔短絡術(ventriculo-peritoneal shunt; VPシャント術)、腰部くも膜下腔腹腔短絡術(lumbo-peritoneal shunt; LPシャント術)などの手術が有効です。

当施設は低侵襲LPシャント術を施行しております。手術は通常、30分程度で、麻酔の方法も全身麻酔の他にご希望に応じて局所麻酔(脊椎麻酔,局所浸潤麻酔)でも施行しております。

■担当医からのメッセージ

歩行障害、認知症、排尿のトラブルは高齢だから仕方がないと考えていませんか。これらで悩んでいる方の中には、特発性正常圧水頭症(iNPH)が原因の方がいます。

iNPHはシャント手術により歩行障害が改善し、生活がより良くなる可能性があります。また、一般的には治らない病とさせる認知症ですが、iNPHが原因で起こっている認知症は手術により改善する可能性があります。

私たちが治療します。
後藤幸大(ごとう ゆきひろ)
2007 京都府立医科大学卒業 後藤幸大
2007 大阪警察病院 臨床研修医
2009 京都府立医科大学 専攻医
2013 京都府立医科大学 脳神経外科 助教
2017 済生会滋賀県病院 脳神経外科 副部長
2021 湖東記念病院 脳神経外科 医長
日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
日本脳卒中の外科学会技術認定医
日本神経内視鏡学会技術認定医
内分泌代謝科(脳神経外科)専門医
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